【書籍の話】第17回 謎はすべて解けた。『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン)について②

書籍の話

こんにちは。ナンドーです。

このブログでは、自分の実体験をもとに色々役に立つ情報や雑記を記載していきます。

本日のテーマは「謎はすべて解けた。『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン)について②」です。

前半のブログはこちら。

【書籍の話】第16回 不可能を可能にした。『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン)について①
こんにちは。ナンドーです。 このブログでは、自分の実体験をもとに色々役に立つ情報や雑記を記載していきます。 本日...

手っ取り早く内容を知りたいというせっかち大臣の方へ。
「中田敦彦のYouTube大学」の解説動画。
https://www.youtube.com/watch?v=38U0Mhp3MbQ&feature=emb_logo

3.【詳細】『フェルマーの最終定理』の証明

ここでは実際にこの定理を証明したアンドリュー・ワイルズだけではなく
その前に挑んだ功労者たち、そしてワイルズの講演から
最後までを解説しています。

3.1 『フェルマーの最終定理』に挑んだ数学者たち

『フェルマーの最終定理』を証明したのは
イギリスの数学者であるアンドリュー・ワイルズですが
その前にもこの定理の証明に挑戦した人たちはいました。

本書では、完全な証明には至らなくても
この定理の牙城をほんのちょっとずつでも崩そうとした数学者たちの功績が
紹介されています。

まず『フェルマーの最終定理』の内容をおさらい。
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①フェルマー自身

何と、フェルマー自身が他の定理の中で
1つの数値で解がないことを説明していました。
それがこちら。

「n=4は存在しない」

②レオンハルト・オイラー

18世紀の数学者・天文学者で、晩年に盲目になってからも
頭の中で天体の軌道を計算した、といわれる天才です。
そんな彼が証明できたのがこちら。

「n=3は存在しない」

③ソフィー・ジェルマン

フランスの数学者です。なんと女性!
この時代に女性が数学を勉強するなどもってのほか、といわれていた中で
どうしても数学を勉強したい、と真夜中に隠し持っていたロウソクに
火を灯しながら勉強をした、というすごい人です。
そんな彼女が証明できたのがこちら。

「n=5は存在しない」

④ディリクレおよび ラメ、ルベーグ

ここはあまり書かれていませんでしたが
この方々もフェルマーの最終定理を崩した人たちです。
そんな彼らが証明できたのがこちら。

「n=14は存在しない」
「n=7は存在しない」

はい、『フェルマーの最終定理』が発表されてから
ここまでで170年かかっています。
なのに解が無いと証明できたのはわずかに5つ…。

本当にこの定理は解けるのか?と思われていた時
コンピューターが誕生します。

コンピューターの発達により、『フェルマーの最終定理』が
あっていそうだ、というのは一気にその数を広げていきました。
1994年初めには、n=4,000,00まで解が存在しないことわかったそうです。
一気に進歩!

しかし、これでも「証明」にはならないのです。
nは無限に存在するので、演算をするだけでは証明にはならず
解がないことを証明するには人間の頭脳と、紙と、ペンで立ち向かうしかないのです。

数字の世界なのに、アナログでないと証明ができない、って不思議。

3.2 『フェルマーの最終定理』を証明したアンドリュー・ワイルズ

ここまでちょっとずつ牙城を崩してきた数学者たちでしたが
1953年、本気でこの証明に挑戦した数学者が誕生します。
それが「アンドリュー・ワイルズ」です。

この人。

この方は大学教鞭をとるかたわら、何と7年間もの間一人で
この定理の証明をし続けていた、というのです。
通常、数学の証明は何人もの人と協力しながら
間違いがないかを確認しつつ進めていく、というのが
スタンダードな方法ですが、ワイルズはたった一人で証明することに
こだわったそうです。

なぜなら、「これは私の楽しみだから他の誰にも取られたくない」という
強い信念があったから。

そんな彼が証明をするために研究した定理がこちら。

1.ガロア群
2.楕円曲線
3.モジュラー形式
4.岩澤理論(2年間研究したが、途中で放棄)
5.谷山=志村予想
6.コリヴァギン=フラッハ法

もはや必殺技にしか聞こえない(笑)

これはギャリック砲です。

彼は7年間の研究の末、ケンブリッジ大学で3日間の講演を行います。

講演タイトル「モジュラー形式、楕円曲線、ガロア表現」

どうとでもとれる一般的なタイトルで1日目、2日目の講演を終えると
聴衆者たちは「どうやらワイルズは『フェルマーの最終定理を』証明しようとしているようだ」と噂が流れます。

そして3日目。
噂を聞き付けたケンブリッジ大学数学科の全員
ワイルズが引用した定理を書いた著名な数学者たち
マスコミなどで超満員の会場…。

そこで世紀の講演が行われ、『フェルマーの最終定理』が証明されたと発表されます。

このシーンがすごい!!
緊張感が伝わってくるし、会場のボルテージが上がってくるのもわかります。
是非とも読んでほしいところです。

※イメージです

くれぐれも言っておきます。
「数式は出てきません」(笑)

3.3 小さな欠陥の発見と逆転劇

世紀の講演を終えて『フェルマーの最終定理』を証明したワイルズは
論文を審査に出します。
この審査が通れば証明されたものとみなされるのです。

しかし、ここで1つ審査の担当者から物言いがつきます。


たった一つの小さな問題点の指摘です。
すぐに解決すると思われたその問題点は、解決しようとあるところをいじると
他の部分にほころびが生じる、という非常に複雑な問題だったのです。

世紀の講演をしてから論文を発表するまですぐ、と言っていたのに
この問題が解決しなければ発表はできない…。

審査員はワイルズにこういいます。

「この小さな問題点以外は完璧です。なので、まず公開して
他の数学者たちに助けてもらって完全な証明にするというのはどうですか?」

しかし、ワイルズはこう返しました。

「これは自分が小さいころからずっと証明することを
夢見てきた定理だ。他の人に手を入れられるようなことはしたくない。
自分だけで解決させる

そうしている間にも時間は過ぎ、ついにワイルズも諦めるかどうするかの
決断を迫られます。
そして散歩をしていたワイルズは、突然これまで封印していた「岩沢理論」が
この問題を解決できると思いつきます。

そこから世紀の逆転劇により、ワイルズはこの『フェルマーの最終定理』を
完全に証明し、350年の戦いに終止符を打ったのでした…。


おめでとう!

これが本書の概要です。
めっちゃ濃いです!!読書感想文書け、って言われたら何枚かかるやら…。

クライマックスは本当にドラマティックで驚きます。
7年間研究し続けたワイルズだから、最後のキーを見つけることができた
その感動は読んでいる人たちにも伝わるでしょう。

4.【まとめ】まだ証明されてない数式はたくさんある

本日は「謎はすべて解けた。『フェルマーの最終定理』(サイモン・シン)について②」を書きました。

これだけの偉業を成し遂げたワイルズ。
7年間もの苦労が報われ、さぞかし喜びにあふれると思いきや彼はいったのです。

「だが、寂しい…」


数学会にはまだまだ証明されていない定理が山のようにあります。
それは3000年解かれていないものもあるとか。
ここまで来ると神話のような感じです。

この本はノンフィクションですが、映画を見ているような気分になります。

ここまで情熱を傾けることができる数学の世界。
数字的思考って大事だ、とよく言われますよね。
本書ではそんな考え方についても例題が書かれています。
そのうちこちらについても紹介したいと思います。

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では、今日も一日ご安全に!

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